7月29日(水)に、第五回カガワ労働組合スクーリングが開催されました。カガワ労働組合スクーリングは、今後の労働運動を担うリーダーの方々や協同組合の方々を対象に、賀川豊彦と労働運動の歴史と理念を学びあうことを目的として毎年7月に開催されます。今回も連合・中央労福協・ろうきん協会・こくみん共済coopなど労働運動に関わる組織の方々15名の参加がありました。
スクーリング開始前には『灯りをともした人々』の動画が上映されました(写真②)。『灯りをともした人々』は、1921(大正10)年に賀川豊彦が指導者として活躍した川崎・三菱造船所労働争議を日活が撮影したものを、戦後22分のドキュメントとして再編集されたものです。この動画は労働争議における大デモ行進と、一瞬ですが当時33歳の賀川の姿も記録されている貴重なものです。
講演Ⅰでは、当財団の理事であり連合顧問の逢見直人様が『賀川豊彦と労働運動』と題して講演を行いました(写真③)。日本の労働運動の歴史と概要を解説した後、賀川豊彦著の『自由組合論』や『労働者崇拝論』などを取り上げて労働運動における賀川の言葉を多く紹介されていました。労働者の自由と人格の尊重を訴えた賀川の生の言葉は、熱意を帯びていてとても説得力があるものでした。
講演Ⅱでは、早稲田大学教授の篠田徹様が『賀川豊彦とその世界』と題して講演を行いました(写真④)。篠田教授は「賀川レンズ」という言葉を用いて、現代の労働運動、協同組合運動を「賀川だったらどう見るか」という視点で考える必要性を述べていました。また、労働組合と協同組合の連携(労協連携)について、賀川はそれを初期から体現しており、時間と空間を越えて現代においても地域の労協連携を実現することが重要だと述べられました。賀川の牧師としての活動や貧困問題への取り組みによって、アメリカや中国など多くの国々で賀川が評価されていたことを鑑みて、現代の混迷する国際情勢においても「違う国々が同じ価値観で動ける余地があるのか?」という考察がありました。賀川の理念の普遍性と現代の国際情勢を織り込んだ、非常に学びのある内容でした。
最後は交流プログラムとして、法政大学教授の伊丹謙太郎様の指示のもと、グループディスカッション(写真①)とグループ発表が行われました。グループ発表では、「私たちの新しい労働運動のスタイルを一言で表すなら」というテーマで、各グループ5分ほどの発表が行われました。
Aグループは、「セツルメントな労働運動」というタイトルで(写真⑤)、賀川が貧民街に自ら身を投じて活動を行ったことから学び、労働運動に関わる人々の当事者意識をより一層引き出して、外から見えやすい労働運動を行うことが重要との報告がありました。
Bグループは、「可視化された労働運動」というタイトルで(写真⑥)、現在の労働運動は若い人から遠くなり見えなくなってしまっている状況であり、声なき声を拾い労働運動の意義を分かりやすく伝えることで可視化された労働運動を行うことが重要との報告がありました。
Cグループは、「斬新な労働運動」というタイトルで(写真⑦)、産業別・職業別の労働組合の機能を強化して、団体交渉における交渉力を強化すること。そして各単組の交流を強化していくことが重要との報告がありました。
最後にグループ発表を受けての逢見様のまとめがありました。逢見様は過去の経験から、「連合=大企業正社員のためのもの」というイメージを払拭するために尽力されたこと、そのためにAグループのセツルメント(よりそい)、Bグループの可視化、Cグループの企業の枠を越えた行動というのは今までも連合で行ってきていたことなので、今回のスクーリングで学んだ賀川の精神を軸として、今後も若い世代の方々にグループ発表で報告された労働運動を行ってほしいというエールを送られました。
長時間ではありましたが、無事に第五回カガワ労働組合スクーリングは終了しました。今後の労働運動を担う、皆様方のご活躍をお祈り申し上げます。